昔は似合っていた服が、なんだかしっくりこなくなった——それは、あなたが変わってしまったからではありません。
大切なのは「隠す」ではなく「バランス」を整えること。
この記事ではぽっちゃり・低身長・痩せ型・高身長という4つの体型別に、今日から実践できるコーディネートのコツをご紹介します。
- 年齢とともに体型が変わる、本当の理由
- ぽっちゃり・低身長・痩せ型・高身長、それぞれに似合う着こなしのコツ
- 「全部隠す」がなぜ逆効果になってしまうのか
- どんな体型の方にも共通する、いちばん大切な仕上げのコツ
はじめに|「なんだかしっくりこない」その理由
「昔は似合っていた服が、なんだかしっくりこなくなった」。そんなふうに感じること、ありませんか。クローゼットの中の、お気に入りだったはずの一着を前に、少し戸惑ってしまう。そのお気持ち、よくわかります。
でも、それはあなたが変わってしまったからではありません。年齢を重ねると、体重そのものは変わらなくても、お肉のつき方やボディラインは少しずつ変わっていきます。これは、誰もが経験するごく当たり前のことです。
大切なのは、昔のルールを見直して、今の自分に合う服を選び直すことです。この記事では、50代・60代・70代の女性に向けて、体型別のコーディネートのコツをご紹介します。ぽっちゃりさん、低身長さん、痩せ型さん、高身長さん。それぞれに似合う「専用のルール」があります。そして最後に、どの体型の方にも共通する、いちばん大切な仕上げのコツもお伝えします。ご自分の体型のところだけでなく、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
「若い頃は何を着ても様になったのに」と感じる瞬間があっても、それは決して珍しいことではありません。多くの方が、40代・50代を境に同じような戸惑いを経験しています。まずは、その戸惑いをご自分のせいにせず、「体が新しいステージに入っただけ」と捉え直すところから始めてみましょう。
なぜ体型は変わっていくのか|大人の体に起こる3つの変化

まず、年齢とともに体に起こる変化を知っておきましょう。変化を知ると、どんな服を選べばいいかが、はっきり見えてきます。大人の体には、主に3つの変化が起こります。
ひとつめは、バストとヒップです。重力によって全体的に下がり、体の重心が低くなります。ふたつめは、おなかまわりです。筋肉が落ちて、丸みのあるやわらかなボリュームが出てきます。みっつめは、首や関節です。デコルテや手首、足首の骨感が、目立ちやすくなります。
これらは、年齢を重ねた証。みんなが経験することです。20代・30代の体に向けて作られた服を、無理に着る必要はありません。今の体に合う服を選んだり、着こなしを工夫したりすれば、おしゃれはもっと楽しくなります。
この変化の背景には、筋肉量の減少も関係しています。筋肉量は30歳ごろをピークに少しずつ減っていき、50代以降はそのペースが加速するといわれています。筋肉が落ちると基礎代謝も下がりやすくなり、体のラインを支える「土台」がゆっくりと変わっていきます。これは、ダイエットや努力が足りないからではなく、誰にでも起こる自然な流れです。だからこそ、若い頃のルールをそのまま踏襲するのではなく、今の体に合わせて服選びのルールを更新していくことが大切なのです。
いちばん大切なこと──「全部隠さない」
ここで、いちばん大切なことをお伝えします。体型の変化が気になると、大きめの服で全身を覆いたくなりますよね。
でも、全身をダボっとした服で覆ってしまうと、かえって体が大きく、老けて見えてしまうことがあります。大切なのは、「隠す」ことではなく、「バランス」を整えることです。この記事でご紹介するコツも、すべてこの「バランス」が土台になっています。
ぽっちゃり体型さん|縦のラインでシャープに

おなかや二の腕をカバーしたい、太って見えやすい。そんなお悩みには、縦のラインが効きます。
体型を隠そうとしてオーバーサイズの服を着ると、体の面積が広く見えてしまいます。反対に、ジャストサイズの服に、ジレやロングカーディガンを羽織ると、縦のラインが生まれて、すっきりシャープに見えます。この違いが、とても大切です。
Iラインで縦の長さを強調する
体の真ん中に、縦の1本の線を作りましょう。インナーとボトムスの色をそろえて、ロングカーディガンやジレを重ね着します。すると、縦にすっと伸びたラインが強調されて、おなかまわりや背中の丸みを、自然にカバーしてくれます。
深めのVネックで顔まわりをシャープに
首元は、深めのVネックを選びましょう。顔まわりがシャープに見えて、すっきりとした印象になります。首のシワが気になる場合は、シャツのボタンを開けて着るだけでも、Vネックと同じような効果が得られます。
柄は「小さめ」を選ぶ


柄物を着るときは、選び方にコツがあります。実は柄には、人の目をそらして、視線を分散させる働きがあります。上手に取り入れると、体のラインが目立ちにくくなって、すっきり見せることができるのです。ただし、大きな柄は、かえって体を広く見せてしまいます。細めのストライプや小花柄など、小さめの柄を選びましょう。縦のストライプなら、さらにすっきり見えますよ。
似合う素材の目安としては、肉感を拾わないハリ感のある素材と、縦のラインをきれいに見せる落ち感のある素材の組み合わせがおすすめです。反対に、体のラインをくっきり拾ってしまうピタピタの服や、大きめの柄、太いボーダー柄、光沢の強すぎる素材は、体の凹凸を強調してしまいやすいので、選ぶときに少し意識してみてください。
低身長さん|おへそより上に目立つ部分を作る

服に着られているように見える、全体のバランスが取りにくい。そんなお悩みには、おへそより上に、目立つ部分を作ることが効きます。人の目は、いちばん目立つところに集まります。目立つ部分を体の上のほうに置くと、視線が上がって、脚が長く、背が高く見えるのです。
トップスを前だけインして、ウエストを高く見せる
着丈の長い服は、目立つ部分を下げてしまいます。トップスは、前だけ少しインしましょう。そうすると、ウエストの位置が高く見えて、脚が長く見えます。この「上のほうに目を引く場所を作る」工夫が、いちばん効果的です。
顔まわりに明るい色を足す
顔の近くに、明るい色のスカーフやブローチを足しましょう。顔まわりが目立って、視線が上に集まります。顔色も明るく見えて、一石二鳥です。
靴とボトムスの色をそろえる
靴とボトムスの色を、同じ系統でそろえましょう。足元の境目が曖昧になって、脚が長く見えます。ヒールがなくても、すらりとした印象になりますよ。
ぽっちゃりさんのところでお話しした「深めのVネック」は、実は低身長さんにもおすすめです。首元がすっきりして、視線が上に集まりやすくなりますので、ぜひあわせて試してみてくださいね。
痩せ型さん|素材のボリュームで華やかに

首元や手首の骨感が目立つ、少しさびしい印象に見えやすい。痩せ型さんのお悩みには、素材のボリュームが効きます。
薄くて体に沿う、ペラペラの素材を一枚で着ると、体のラインや骨感を拾って、さびしい印象になりがちです。反対に、ツイードのジャケットや、Aラインのスカートを合わせると、自然な立体感が出て、健康的で華やかに見えます。素材やシルエットが変わるだけで、印象は大きく変わります。
立体感のある素材を選ぶ
薄くて体に沿う素材は、体のラインや骨感を拾いやすくなります。ハリのあるコットンや麻、秋冬ならツイードやコーデュロイ、厚みのあるニットなど、立体感のある素材を選びましょう。自然なふくらみが出て、健康的で華やかな印象になります。
デコルテは「優しく覆う」
首元を大きく開けると、鎖骨の骨っぽさが目立ちやすくなります。深いVネックよりも、ボートネックや、詰まった襟の服がおすすめです。スカーフを巻いて、鎖骨を上品に隠しながら、華やかさを足すのも素敵です。
Aラインで女性らしいラインをつくる
痩せ型さんには、Aラインのスカートやワイドパンツがおすすめです。裾に向かってふんわり広がる形が、女性らしい華やかさを生んで、エレガントな印象になります。
夏は「薄い一枚」を避けて、軽い重ね着を

夏は薄着になるぶん、痩せ型さんの悩みが出やすい季節です。
薄いTシャツやタンクトップでは、骨感やさびしさが目立ちやすくなります。そんなときは、シアーシャツや薄手のリネンカーディガンを羽織りましょう。透け感のある軽い素材なら、涼しさはそのままに、奥行きとボリュームが生まれます。色は、オフホワイトやパステルなど、膨張色の明るい色がおすすめです。顔色も明るく見えて、夏らしい華やかさが出ますよ。
明るい色や、やわらかい素材が気になる方は、この後にご紹介する高身長さんのお話も参考にしてみてくださいね。
高身長さん|やわらかさを味方に

全体が大きく見える、威圧しているように見えてしまう。そんな高身長さんのお悩みには、やわらかさが効きます。
全身を暗い色や、硬い素材でまとめると、印象が強く、男性的に見えてしまうことがあります。反対に、落ち感のあるやわらかい素材で明るい色にすると、軽やかで女性らしい印象になります。素材と色で、やわらかさを足すのがコツです。
落ち感のあるやわらかい素材を選ぶ

黒やブラウンなどの濃い色、硬いジャケットやスーツにすると印象が強くなりやすいです。落ち感のある、やわらかい素材を選びましょう。体に沿ってゆれる素材が、軽やかで女性らしい印象を作ってくれます。
重ね着で、丈のサイズを調整する
高身長さんは、トップスの丈が足りないと感じることがありますよね。そんなときは、重ね着コーデがおすすめです。シャツやカットソーを下に重ねて、裾を少しのぞかせると、丈の物足りなさが解消できて、こなれた印象になります。
パンツの丈は、必ずサイズを確かめる
高身長さんが気をつけたいのが、パンツの丈です。丈が短いと、くるぶしが中途半端に出て、全体のバランスが崩れてしまいます。お店で買うときは、必ず試着して、丈が足りているかを確かめましょう。
高身長は、生かせる長所です
高身長さんの中には、背を低く見せようとして、つい背中を丸めてしまう方もいらっしゃいます。でも、その背の高さは、隠すよりも生かしたい、すてきな長所です。背すじを伸ばして、その長所をぜひ堂々と生かしてくださいね。もし細身の高身長さんなら、痩せ型さんの「立体感のある素材」のお話も役立ちます。ツイードやニットで自然なふくらみを足すと、より女性らしい印象になりますよ。
「3つの首」を活かすと、もっとバランスが整います
体型別のコツとあわせて、覚えておいていただきたいのが「3つの首」の考え方です。首・手首・足首という、体の中でも細い部分を上手に見せると、全身がすっきりとした印象になります。ただし、この見せ方は体型によって少し変わります。
痩せ型さんは「見せすぎない」
骨感が気になる痩せ型さんは、首元をクルーネックやボートネックでやさしく覆いつつ、手首は少し袖をまくって見せると、全身の重さが軽くなって見えます。足首も同じように、ふくらはぎ側を隠して足首だけをちらりと見せるくらいが、ちょうどよいバランスです。
ぽっちゃりさんは「思いきって見せる」
ぽっちゃりさんの場合は、逆に思いきって首・手首・足首を見せることで、自然な抜け感が生まれます。Vネックで首元を開け、袖をまくって手首を出し、アンクル丈のパンツで足首を見せる。骨の細い部分が見えることで、全身が引き締まって見える効果があります。
低身長さんも高身長さんも、この「3つの首」の考え方を、それぞれのお悩みに合わせて取り入れてみると、コーディネートにもうひと工夫加えることができますよ。
生まれ持った骨格のタイプによっても、脂肪や筋肉のつき方には違いがあります。上半身に厚みが出やすい方、下半身にボリュームが出やすい方、関節や骨感が目立ちやすい方など、感じ方はさまざまです。「なぜか今回のコツがしっくりこない」と感じたときは、ご自分の体の変化がどこに一番出やすいかを、鏡の前で観察してみるのもおすすめです。
【全員必見】どんな体型にも効く仕上げのコツ
ここまで体型別のコツをお話ししてきました。でも実は、どんな体型の方にも共通する、いちばん大切な仕上げがあります。体型に関係なく、全員に効きますので、ぜひ覚えてくださいね。仕上げのコツは、3つあります。
素材を選ぶ
適度なハリのある素材は、体のたるみを拾わず、シルエットをきれいに保ってくれます。これは、ぽっちゃりさんも、痩せ型さんも、みんなに共通するコツです。どんな体型でも、ハリのある素材を選ぶと、きちんとして見えます。
色は「3色」でまとめる
おしゃれに見せるコツは、とてもシンプルです。全体の色を、3色までにまとめましょう。色をたくさん使うと、まとまりがなく見えてしまいます。反対に、3色に絞ると、視線が落ち着いて、洗練された印象になります。おすすめは、ベーシックな色を2つと、差し色を1つの組み合わせです。黒・白・グレーは、どんな色とも合うので、迷ったときはこの3つを土台にしてみてくださいね。
姿勢を意識する
そして、もうひとつ。体型カバー以上に見た目年齢を変えてくれるのが「姿勢」です。難しく考える必要はありません。お出かけ前に、鏡の前でふっと肩の力を抜いて、深呼吸をひとつ。すっと伸びた背すじとやわらかな表情は、どんな服よりもあなたを凛と美しく見せてくれます。
シーン別|今日から真似できるコーデ実例
ここまでご紹介してきたコツを、実際のコーディネートに落とし込むと、どのようになるのでしょうか。ご自分の体型に近いところから、まずひとつ試してみてください。
お買い物・お散歩コーデ(ぽっちゃりさん向け)
ジャストサイズの深めVネックカットソーに、ロングカーディガンを羽織って前を開けたまま。インナーとパンツは同系色でそろえて、縦のIラインを意識します。柄を足すなら、細めのストライプをひとさじだけ。
お食事会コーデ(低身長さん向け)
トップスは前だけウエストイン。顔まわりに明るい色のスカーフをひとつプラスして、靴とパンツは同系色でつなげます。視線が上と足元、両方に落ち着くので、バランスよくまとまります。
夏のお出かけコーデ(痩せ型さん向け)
透け感のあるシアーシャツをオフホワイトのタンクトップに重ねて、鎖骨まわりをやさしくカバー。ボトムスはAラインのスカートで、女性らしい華やかさをプラスします。
オフィスコーデ(高身長さん向け)
落ち感のあるブラウスに、丈を確かめたワイドパンツ。シャツを一枚下に重ねて裾を少しのぞかせ、こなれた印象に。色は黒・白・グレーの3色を土台に、差し色のスカーフを添えます。
体型ミックスの日のコーデ(複数タイプ対応)
おなかまわりが気になりつつ、首や手首の骨感も気になる、という方も多いのではないでしょうか。そんな日は、深めのVネックでシャープさを出しながら、インナーとボトムスは同系色でIラインを意識。素材は、ハリのあるコットンやツイードなど、たるみを拾いにくいものを選ぶと、複数のお悩みに同時に対応できます。
まとめ
大人世代のファッションは、自分の体型の変化を否定するのではなく、特徴を理解して「素材感」「シルエットの工夫」「視線の誘導」で美しく見せることが大切です。
ここまで4つの体型別のコツと、全員に共通する仕上げのポイントをお伝えしてきました。すべてを一度に覚えようとしなくても大丈夫です。まずは、ご自分が今いちばん気になっている一点から、少しずつ試してみてください。
体に合った服を着て、自然な笑顔で、今日という日を楽しんでくださいね。
永久保存版|体型別コーデ チェックリスト
- 体型を隠そうとして、オーバーサイズを選んでいないか
- おなかまわりが気になる日は、縦のIラインを意識できているか
- 低身長さんは、トップスを前だけでもインできているか
- 痩せ型さんは、ハリや厚みのある素材を選べているか
- 高身長さんは、パンツの丈をきちんと試着で確かめているか
- 柄物を選ぶときは、大きすぎない柄になっているか
- 全体の色を3色までにまとめられているか
- 顔まわりや靴元など、視線を誘導する小物を使えているか
- 出かける前に、背すじを伸ばして深呼吸をひとつできているか
