クローゼットには服がたくさんあるのに、いざ着ようとすると「なんだかしっくりこない…」と感じることはありませんか?実はそれ、持っている服が悪いわけではないのです。
60代のファッションコーディネートは、色の合わせ方とシルエットの選び方、この2つのコツを知るだけで見違えます。
今ある服のままで印象がぐっと変わる「3色でまとめる配色」「ベーシックカラーの置き場所」「色のリンク」「Aライン・Yラインのシルエット」という4つの法則を、ゆっくりお伝えしていきますね。
- コーディネートを「3色」でまとめる配色の基本
- ベーシックカラーを置くと得する場所と、遊ぶ場所の分け方
- プロっぽく見える「色のリンク」の作り方
- 60代70代に似合うAライン・Yラインのシルエット
- 今ある服が見違える、体型カバーの小さなコツ
失敗しない「色合わせ」3色ルール|60代ファッションコーディネートの土台
まずはいちばん大事な「色合わせ」からお話しします。おしゃれに見える方は、決して高い服をたくさん持っているわけではありません。色の使い方が上手なだけなのです。基本のルールさえ知れば、難しいことはひとつもありませんよ。
基本は「全体で3色」まで

コーディネートに使う色は、全体で3色までにまとめるときれいに整います。この3色には、洋服だけでなく靴やバッグの色も含めて数えるのがポイント。おすすめの配分は「ベーシックカラー2色+差し色1色」です。
色を4色5色と増やすと、上級者らしい世界観が出ておしゃれにも見えるのですが、そのぶんバランスをとるのが難しくなります。まずは3色を目安にすると、失敗がぐっと減りますよ。
色は「隣り合う色」か「反対の色」で選ぶ

色合わせには、覚えておくと便利な2つの考え方があります。色の輪(色相環といいます)を思い浮かべてみてください。
ひとつめは、色の輪の中で隣り合う色同士でまとめる方法。青と緑、オレンジと黄色といった仲間のような色を合わせると、上品でしっとりまとまります。
もうひとつは、色の輪の反対側にある色を組み合わせる方法。青とオレンジ、紫と黄色などの反対色は、少量ポイントに使うだけで華やかで、こなれた印象になります。
迷ったら「隣り合う色でまとめる」、少し華やかにしたい日は「反対の色をポイントに加える」——この2択で考えると安心です。
「楽なベーシックカラー」と「実は難しいベーシックカラー」

服の土台になるベーシックカラーは、白・黒・グレー・ネイビー・ベージュ・ブラウンの6色とよく言われますよね。でも実は、この6色は同じ「合わせやすさ」ではないのです。
本当に合わせやすいのは、黒・白・グレーの3つ。この3色は色味のクセがないので、どんな色と合わせてもぶつかりません。いわば万能選手です。
一方、ベージュ・ネイビー・ブラウンは、実はほんのり色味を持っているので、合わせる色を選びます。ひとくちにベージュと言っても、黄みが強いもの、ピンク寄りのもの、グレーがかったものといろいろあって、手持ちのトップスと合わない…ということも起こりがち。「ベーシックだから安心」と思って買ったのに着回せない、という失敗の原因はここにあります。
60代70代の強い味方は「明るいグレー」

万能な3色の中でも、大人世代にいちばんおすすめしたいのが明るいグレーです。
白はさわやかで素敵ですが、汚れが気になってベースにするのは少し大変。黒はきりっと引き締まりますが、顔まわりに大きく持ってくると影が強く出て、シワやたるみが目立ちやすくなります。黒を顔まわりに着る日は、白の襟元や明るいスカーフを添える工夫があるとよいですね。
その点、明るいグレーは顔色をやさしく明るく見せてくれて、どんな色ともけんかしません。まずは「3色でまとめる」「明るいグレーを味方にする」。この2つから始めてみてください。
この章のポイント:配色は「3色まで」。合わせやすいのは黒・白・グレーの3色で、なかでも明るいグレーが大人世代のいちばんの味方です。
ベーシックカラーは「どこ」に置く?|着回しが広がる配置の法則
色のルールが分かったら、次は「どのアイテムを何色にするか」を考えていきましょう。実はここに、コーディネートがぐっと楽になる、とっておきのコツがあるのです。
大きくて高いアイテムほど「ベーシックカラー」に

ポイントは、面積の広いアイテムやお値段の張るアイテムを、ベーシックカラーにすること。具体的には、スカート、パンツ、コート、革のバッグ、靴。このあたりを黒・グレー・白にしておくと、どんなトップスとも合って、着回しが無限に広がります。
たとえば、グレーのワイドパンツが1本あれば、白ブラウス、青のカットソー、ピンクのニット、ボーダーのTシャツ…と何にでも合います。反対に、これが柄物のパンツだったら、合わせるトップスがぐっと限られてしまいますよね。少ない服で何通りにも着回せて、結果的に高見えもする——これが「大きい服はベーシック」の効果です。
トップスは「顔まわりで色を楽しむ」場所

反対に、トップスは好きな色を思いきり楽しむ場所です。顔まわりに、自分が好きな色や、似合う色を持ってくると、顔色がパッと明るく見えます。
ボトムスや靴がベーシックカラーで整っていれば、トップスに流行の色や少し鮮やかな色を取り入れても、全体のバランスが崩れません。「ちょっと派手かしら」と迷った色も、下がグレーや黒ならすっと馴染んでくれるのです。
「投資する服」と「遊ぶ服」を分けて考える
まとめると、こう覚えておいてくださいね。
面積が大きくて長く使うもの——ボトムス・コート・バッグ・靴は、ベーシックカラーに投資する。面積が小さくて気軽に変えられるもの——トップス・スカーフは、好きな色で遊ぶ。このメリハリを覚えておくと、お買い物で迷うことが減りますし、「買ったのに着回せない」というもったいない失敗も減っていきます。
この章のポイント:大きい服・良い服はベーシックカラーに、顔まわりのトップスやスカーフは好きな色で。これがコスパよく高見えする秘訣です。
プロっぽく見える「色のリンク」テクニック

同じ服でも、ちょっとした工夫でぐっと垢抜けて見えます。その秘密が「色のリンク」です。おしゃれ上手な方が、さりげなくやっているちいさな仕掛けをご紹介しますね。
離れた場所に「同じ色」を散らす
おしゃれに見える方が必ずやっているのが、離れた場所に同じ色を散らすことです。たとえば、青いスカーフと青いバッグ。赤い帽子と赤い靴。上と下、離れた場所に同じ色があると、視線が自然につながって、まとまりよく、こなれて見えるのです。
バッグと靴を「同系色」でそろえる
いちばん簡単なリンクが、バッグと靴を同じ系統の色にすること。これだけでコーディネートがきゅっと引き締まって、きちんと感が出ます。全く同じ色でなくても、茶色系同士・黒とグレーなど、近い色ならOK。迷ったら、まずここから試してみてください。


「チラ見せ白」で顔映りアップ

暗い色のトップスを着る日に、覚えておきたいひと工夫です。襟元や袖口から、白いインナーやカフスをちらっと見せるだけ。顔の近くに白があると、レフ板のように光を返して顔色を明るく見せてくれます。
白いタートルネックや、白のカットソーを1枚仕込むだけなので、とても手軽。「今日はなんだか顔色がさえないな」という日ほど、効果を感じられると思います。
「リンクのセット」を作っておく

忙しい朝の裏技もお伝えしますね。リンクさせた組み合わせを、あらかじめ決めておくのです。「この青いスカーフには、この青みの入った靴」「この赤いカーディガンには、この赤いバッグ」——一度セットを作ってしまえば、朝迷わずに、いつでも垢抜けたコーデが完成します。
クローゼットの中に、ゆるく「セットのグループ」を作っておくと、着る時にも片づける時にも楽になります。頭で考えるより、目で見て分かるようにしておくのがコツです。
この章のポイント:同じ色を離れた場所に散らす、バッグと靴を同系色に、そして「チラ見せ白」。この3つで、いつものコーディネートがプロっぽく仕上がります。
体型カバーと「シルエット」の選び方|60代ファッションコーディネートを整える
最後は、大人世代がいちばん気になる、体型とシルエットのお話です。ここも、選び方さえ知れば、今ある服でぐっとバランスよく見えますよ。体型は年齢とともに少しずつ変わっていくもの。それに合わせて服の形を選び直すだけで、印象は驚くほど変わります。
60代70代に似合うのは「Aライン」と「Yライン」

服の全体像を横から見たときの形を「シルエット」と呼びます。A・Y・X・O・I・Hなどいろいろな形がありますが、今どきよく見かける丸みのあるOラインは、実は背の高い方やすらりとした方に似合いやすい形。ウエストをきゅっと絞るXラインは、細身の方向きです。
私たち60代70代にいちばん似合うのは、AラインとYラインの2つ。この2つを覚えておくだけで、コーディネートがぐっと楽になります。
Aラインは、アルファベットのA。上半身をコンパクトに、下半身をゆったりとしたシルエットです。体に沿うトップスに、ワイドパンツやフレアスカートを合わせます。下半身のラインをやさしく包んでくれるので、腰まわりや太もものカバーにぴったり。
Yラインは反対に、上半身をゆったり、下半身をぴったりと。ふんわりしたブラウスやチュニックに、細身のパンツを合わせます。すっきりシャープに見えて、二の腕やお腹まわりが気になる日にも心強い形です。
その日の気分やカバーしたい場所に合わせて、AラインとYラインを使い分けてみてくださいね。
体型をきれいに見せる3つの基本

シルエットに加えて、覚えておくと便利な基本が3つあります。
ひとつめは三首見せ。首・手首・足首のどこか1か所を見せると、それだけで軽やかに見えます。長袖なら袖をひとつまくる、足首がのぞく丈のパンツを選ぶ、それだけで印象が変わります。
ふたつめはIライン。羽織りものの前を開けたり、縦のストライプを取り入れたりして、体に縦の線を作ります。視線が縦に流れるので、すらりと細く見えるのです。
みっつめは前だけイン。トップスの前側だけを軽くボトムスに入れると、ウエストの位置が高く見えて、脚が長く見えます。全部入れるより自然で、こなれた雰囲気に仕上がります。
「前だけイン」をもっと楽にする2つのコツ

この前だけインは便利なのですが、ゆったり着たい日にはお腹がきつく感じることもありますよね。そんなときの裏技を2つ、お伝えします。
ひとつめは、トップスの中に細いゴムベルトをしておく方法。そのベルトにトップスの前側だけを軽く挟むと、お腹はゆったりのまま、「前だけイン風」のきれいなラインが作れます。ベルトはトップスに隠れて見えないので、締めつけも見た目もどちらも楽です。

もうひとつは、最初からウエスト位置が高く見えるデザインの服を選ぶこと。前が短く後ろが長い「前後差」のあるトップスは、インしなくても自然にウエストが高く見えます。裾のサイドが丸くカットされたデザインも、横からボトムスがのぞいて抜け感が出るのでおすすめです。
この章のポイント:シルエットはAラインかYライン。あとは三首見せ・Iライン・前だけインを添えるだけで、今ある服が見違えます。
よくある疑問に答えます
Q1. 差し色を1つ選ぶなら、どんな色がいいですか?
まずは、鏡の前で自分の顔に当ててみて「顔色が明るく見える色」を選んでみてください。パーソナルカラーが分かる方はそれを参考に、分からない方は、手持ちの服でよく着ている色を差し色にしてもよいですね。青系、赤系、緑系のどれか1色を自分の「定番差し色」に決めておくと、買い足しの時にも迷わなくなります。
Q2. 手持ちの服に、地味な色ばかり多いのですが…
それはむしろ、いい状態です。ベーシックカラーの服がそろっているということですから、あとは顔まわりに1点、明るい色を足すだけで印象がガラリと変わります。スカーフ、カーディガン、ブラウスなど、小さめのアイテムから始めてみてください。全部を買い替える必要はありません。1点足すだけで十分ですよ。
Q3. 黒い服が好きなのですが、着てもいいですか?
もちろん、黒はきりっと素敵な色ですから、大好きならぜひ着てください。ただ、顔のすぐそばに大きく黒を持ってくると、影が強く出やすくなります。白い襟のあるインナーを重ねる、明るい色のスカーフを添える、パールのネックレスを足す——このどれかをひとつプラスするだけで、黒の魅力がぐっと引き立ちますよ。
Q4. お腹まわりが気になります。どんな服を選べばいいですか?
Yラインのシルエットがおすすめです。ふんわりしたトップスに細身のパンツを合わせると、お腹まわりを自然に包みつつ、脚のラインですっきり見せることができます。前が短く後ろが長い「前後差」のあるトップスも心強い味方です。締めつけずに、きれいに見える——そんな1枚を見つけてみてくださいね。
Q5. 流行の色を取り入れてもおかしくないでしょうか?
まったくおかしくありません。むしろ、大人世代こそ流行の色を上手に取り入れると、ぐっと軽やかに見えます。コツは、面積の小さいアイテム(スカーフ・カーディガン・小物)で取り入れること。ボトムスや大きな面積で流行色を使うと合わせにくくなりますが、小さく効かせるぶんには、いつものコーデが今っぽく生まれ変わります。
まとめ|今の自分にいちばん似合う装いへ
- コーディネートは全体で3色まで。明るいグレーを味方に
- 大きい服・良い服はベーシックカラー、顔まわりは好きな色で
- 離れた場所に同じ色を散らす。バッグと靴は同系色に
- シルエットはAラインかYライン。三首見せ・Iライン・前だけインを添えて
どれかひとつでも、明日の装いに取り入れてみてくださいね。全部を一度にやろうとしなくても、大丈夫。「今日は3色にまとめてみよう」「今日はバッグと靴の色をそろえてみよう」——そんな小さな一歩から、少しずつでよいのです。
年齢を重ねると、体型も、似合う色も、少しずつ変わっていきます。でもそれは、寂しいことではなくて、今の自分にいちばん似合う装いに出会えるチャンス。昔の自分と比べる必要はありません。無理に若く見せようとしなくても、大丈夫です。
